「一同、礼」
令和4年(2022年)6月24日(金)午前10:00。長野県岡谷市と塩尻市の境界にあたる塩尻峠で日本一短いお祭りとして知られる塩嶺御野立記念祭(えんれいおのだちきねんさい)が厳粛に斎行されました。
日本一って、どのくらい短いと言いますと、何と20秒。岡谷・塩尻両市の職員や議員、商工関係者に住民有志などが整列、石碑に一礼して終了というもの。
いったいこれは何なのでしょうか。今回は日本一短いこの奇祭について、歴史を調べて紹介したいと思います。
明治天皇、昭和天皇が行幸された喜びを後世に伝える
時は明治13年(1880年)6月24日。明治天皇(めいじてんのう。第122代)が中部地方を巡幸された際、ここ塩尻峠に立ち寄られました。
畏れ多くも天皇陛下が御野立(おのだち。野に立たれたこと。転じて当地を見守られた≒祝福されたこと)あそばされた喜びを後世に伝えるため、人々は大正5年(1916年)6月24日に巡幸記念碑を建立します。
「まったく畏れ多いことである。あの時の感謝を忘れぬよう、毎年6月24日にみんなで一礼しようではないか」
などと誰が言い出したのか、それから毎年6月24日になると明治天皇がお越しになった午前10:00ぴったりに記念碑へ一礼を奉げるというお祭りが始まったのでした。
名づけて塩嶺御野立記念祭。塩嶺とは塩尻の嶺を意味し、かつて戦国大名の上杉謙信(うえすぎ けんしん)が武田信玄(たけだ しんげん)に塩を送ったルートでもあるとか。