【鎌倉殿の13人】頼朝愛が過ぎる上総広常(演:佐藤浩市)、嫉妬で年甲斐もなく大喧嘩の巻:2ページ目
「俺の方が似合うモンねー」嫉妬する広常の挑発
この美服は広常が如きが拝領すべきものなり。義実の様なる老者が賞せらるるの条、存外
【意訳】この水干は俺にこそ似合うものだ。それをこんな老いぼれに与えるなんざ、武衛もわかってねぇなぁ(佐藤浩市テイストで)。
確かにこの時点で義実は齢70に達していますが、広常だって(生年不詳ながら)年代的には千葉介常胤(演:岡本信人)なんかと同じ。
という事は軽く見て60代、決して他人様を老いぼれ呼ばわりできるほど若くはありません(もちろん、どんなに若くても他人様を老いぼれ呼ばわりするのは論外ですが)。
老いてなお血気盛んな義実は猛然と反論。悪(にく)らしいほど猛々しい悪四郎の二つ名は伊達じゃありません。
広常功あるのよしを思ふといへども、義実が最初の忠に比べ難し。更に対揚の存念有るべからず
【意訳】てめぇ今何ン言(ツ)った。大軍を恃みに威張ってやがるが、志一つで佐殿の挙兵に従い、みんなと苦労を重ねて来た我らが忠義と比べモノになるかよ。下らねぇこと吐(ぬ)かすとタダじゃおかねぇぞ!
ほぅ、面白ぇ。やンのかコラ!……老人二人の喧嘩を前にした頼朝はうろたえてしまいます。
このままだと刃傷沙汰に発展しかねないところに割って入ったのが三浦十郎義連(みうら じゅうろうよしつら。義澄の末弟)。
此(かく)の時に爭(いかで)か濫吹(らんすい)を好む可し乎(べしや)。若し老狂之致す所歟(か)。広常之躰(のてい)又物儀に叶不(かなわず)。所存有ら者(あらば)、後日を期す可し。
【意訳】せっかくみんな楽しんでいるのに、つまらんいざこざを起こしなさるな。岡崎殿ともあろう者が、ボケちまったンですかい。上総殿も野暮なことを言うンじゃねぇや。どうしても腹が収まらないってンなら、改めて喧嘩の場所を設定しますが?
義実は義澄の叔父に当たる三浦一族。喧嘩になれば、間違いなく義澄たちも敵に回ることでしょう。
出来れば喧嘩は避けたいが、やるならば一族郎党総力を挙げて相手してやる……そんな三浦一族の気迫に怯んだか、広常もそれ以上はつっかからなかったようです。