この感触がたまらない そろばんのプールにみんな病みつき

Japaaan編集部

東京四谷にある東京おもちゃ美術館。小学校の廃校を利用した建物の中に、木のおもちゃを中心に1万5千点のおもちゃが展示されていて、実際に触れて遊べる、子どもだけでなく大人にも人気のスポットです。

その中に、いつ訪れても子どもたちがとり囲んでいる一角があります。神社のお賽銭箱のような1メートル四方の箱の中に、無作法に手を突っ込んでいる子どもたち。中からはジャラジャラとという音。実はこれ、そろばんの中に使われている玉だけを集めたプールなんです。中に入ることは出来ませんが、玉だけを集めた不思議な箱を取り囲んで、幼児から小学生、お父さんやお母さんまでもが手を突っ込んで、飽きることなく玉の感触を楽しんでいます。特別な仕掛けがあるという訳でもないのに、なんとなくハマってしまうこの手触り…。

このそろばんの玉を提供したのは兵庫県の播州算盤組合。兵庫県小野町の「播州そろばん」は、島根県の「雲州そろばん」と並んで、日本のそろばんの2大産地として有名で、どちらも伝統工芸品の指定を受けています。播州でそろばんが作られることになった史実ははっきりとは分かっていませんが、幕末のころには8軒の問屋と、200軒以上の下請け業者があり、やがて日清戦争後に技術が発展し、小野市を中心に一大拠点が築かれていったそうです。戦後の経済発展に伴って需要は昭和35年にピークを迎えますが、やがて電卓の登場で昭和40年代から次第に衰退していきました。

そろばんの玉の原料にはツゲやカバ、黒檀などが使われています。どの木も固くて、磨くと艶が出るところが特徴で、これらの木を6ヶ月ほど乾燥させてから加工していきます。仕上げは今でも職人の手作り。10万個もの玉が入っているというこのそろばんのプールは、実はそろばんの玉を枠に入れる職人芸を体験してもらうために作ったものなのです。プールには骨だけの枠が置かれていて、これを玉の中に入れてすくい上げた時にどれだけ玉を入れられるかを試すことができます。この技術は大変難しく、職人の妙技となっているのですが、私達がやってみてもせいぜい2~3玉しか入りません。

そろばん教室や一部の愛好家の間でしか使われなくなったそろばんですが、こうして思わぬところで人気を集めているそろばんの玉。プラスチックや金属では味わえない木のぬくもりが、子どもたちにも伝わればいいと思います。

 

 

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