血に飢えた妖刀?アイヌに伝わる妖刀伝説「人食い刀」イペタムのエピソード:2ページ目
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終わりに
……といった伝承が道内各地にあるそうですが、これらの妖刀は動き出す時に全身をカタカタ言わせるのがお約束だったことから、ある晩、老婆の家宅が強盗に遭った際、目釘の緩んだ鉈を振ってカタカタ言わせたところ、
「うわぁ、人食い刀が出た!」
と恐れおののいて全員逃げて行ったというエピソードや、それでめでたしめでたしなのかと思ったら、老婆がつい
「鉈の音で逃げるなんて、とんだ臆病者じゃわい」
と口を滑らせたことから、襲撃者が再びやって来て皆殺しにされてしまった、などという残念なバリエーションもあるようです。
他にも色々あるようなので、もし北海道へ遊びに行くことがあったら、郷土資料を調べて、ご当地の「人食い刀」伝承を調べてみたいですね。
※参考文献:
萱野茂『萱野茂のアイヌ語辞典』三省堂、2002年10月
チカップ美恵子『森と大地の言い伝え』北海道新聞社、2005年2月
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