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命もいらず、名もいらず…幕末に活躍した「草莽の志士」ってどういう意味?

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命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。

※西郷隆盛『西郷南洲遺訓』より

カネや名誉が欲しいんじゃない。我らが求め訴えるは、日本国に維新を起こし、西洋列強から平和と独立を守ることなり……まさに論語の謳った「身を殺して、もって仁をなす(衛霊公 第十五)」志士の語源「志士仁人(※)」の姿です。

(※)ししじんじん。士(本来は武士ではなく、士君子=有徳者)として学問を天下公益に役立てることを志し、仁愛の心に満ちあふれた人物。

私利私欲を超えてみんなのため、日本国の未来に命を賭けた草莽の志士たちですが、その多くは利権としがらみにまみれた新政府の藩閥政治に淘汰されてしまいました。

しかし敗北によって彼らの志が損なわれることはなく、今なお心ある人々にリスペクトされ、次世代へ受け継がれていくことでしょう。

※参考文献:
宮崎市定『論語 現代語訳』岩波現代文庫、2000年5月
山田済斎 編『西郷南洲遺訓』岩波文庫、1939年2月

 

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