日本とパリの「高級娼婦」
かつて日本の吉原では「太夫」「花魁」などの最高級の遊女が、一晩で数十万円以上ともいわれる揚げ代、豪華な花魁道中、最先端のファッションなどで「高嶺の花」として庶民の憧れの的となっていました。
一方、19世紀のパリでは「クルチザンヌ」「ドゥミ・モンデーヌ」などと呼ばれる高級娼婦が、貴族をはじめとする大金持ちに囲われ、華麗な生活を送っていました。
有名なクルチザンヌには、デュマ・フィスの小説『椿姫』のヒロインのモデルとなったマリー・デュプレシなどがいます。
どちらも同じように相手をしてもらうには莫大な金額がかかり、上流階級の女性並の気品や教養を持ち合わせた日本とパリの「高級娼婦」ですが、当然ながらそこには違っている点もありました。
花魁は「公娼」、クルチザンヌは「私娼」
花魁が客を取っていた吉原遊郭は、江戸幕府公認の遊郭でした。
吉原は江戸市中の治安や風紀の維持(性犯罪の防止など)のために作られ、遊女たちは「年季奉公」という形で働く「公娼」だったのです。
その一方、市中には「夜鷹」「提重(さげじゅう)」「飯盛女」など、いわば「もぐり」で売春行為を行う「私娼」も存在し、度々幕府による取締まりの対象となっていました。
