夏目漱石のオマージュ?正岡子規の代表作「柿食えば…」には元ネタがあった:2ページ目
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漱石は参禅(さんぜん。禅の修行)のため鎌倉に滞在していたことがあり、こと思い出の深かった建長寺について他にも
「鐘つけば 銀杏散るなり 建長寺」
という句も詠んでおり、これらの作品が子規の感性を刺激した可能性が指摘されています。
子規と大の親友であった漱石が彼の句を知らなかった筈はないでしょうが、決して盗作などと騒ぎ立てることはなく、むしろ「あれほどの柿好きによりよく詠まれて、俳句も本望であろう」と笑っていたことでしょう。
今日も愛され続けるこの句は、子規と漱石が育んだ友情の賜物と言えるかも知れません。
※参考文献:
原田寛『知れば楽しい古都散策 鎌倉謎解き街歩き』実業之日本社、2014年9月
坪内稔典『正岡子規 言葉と生きる』岩波新書、2010年12月
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