謎に包まれた死。幕末の美男役者・八代目 市川團十郎はなぜ32歳で自殺したのか?最終話:2ページ目
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謎すぎる死
大手を振ってファンの声援に応えたそのわずか8日後、嘉永7年(1854)8月6日。8月の興行が幕を開けるというその初日に、宿泊先の2階で、8代目市川團十郎は自らの喉を掻き切って衝撃的な死を遂げたのです。
彼が演じた助六の舞台で使った天水桶の水が徳利1本1分という大金で売れたり、紙に吐き捨てた痰を御殿女中たちが買って大切にお守りにしたなど、数々の伝説を残した美貌の大人気役者・8代目團十郎の突然の死。
江戸の人々は悲しみに暮れ、死絵が何百も発売され、死の理由も様々憶測されました。借金だろう。名跡の重圧からだろう。父の妾との確執だろう。江戸の贔屓筋に断りなく大坂興行を受けてしまった自責の念からだろう。
・・・どれも間違いではないかもしれませんが、決定的な理由はやはり見当たらず、本人のみぞ知るところです。
願わくは、心優しい8代目市川團十郎の御霊の安らかならんことを・・・。
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