神に捧げられる、和紙の花。石清水八幡宮・勅祭石清水祭の御花神饌
神饌。
神事などの際に献上される、いわば神様のお食事のことです。お祭りの時、本殿で雅楽が鳴ってるなと思って中を見たら、神職さんたちが木の台に乗せた食べ物をうやうやしく運んでたりする、あれです。
相手が神様とはいえ「お食事」なわけですから、通常の神饌は文字通り、食物が捧げられることになります。米、海の幸や山の幸、地域の名産品、旬の味覚などなど。地域や信仰によってバラエティはありますが、基本、食物が献上されるわけです。
しかし中には、食物だけでなく、神饌として花が捧げられる神社もあります。京都の裏鬼門に位置する石清水八幡宮の石清水祭が、そうです。
伊勢神宮と共に二所宗廟として皇室からの崇敬があつかった、石清水八幡宮。その大祭である石清水祭には現在も皇室から勅使が派遣されますが、かつては造花のお供え物も届いていました。それが、花の神饌である、御花神饌。
三座の祭神それぞれに、四季の花を献じる形で調製された、12基の花々。古式の技法で染め上げられた和紙の花のまわりには、可愛らしい小動物もあしらわれています。どうして神に花を捧げるのかと言えば、石清水八幡宮が元々神仏習合の傾向の強い神社だったからとか。確かに、仏教の供花みたいに見えなくもありません。
近年は、高名な染色家である吉岡幸雄氏の工房・染司よしおかが担当してきた、御花神饌の調整。しかし少し前から、三笠宮彬子女王殿下が日本文化の再生を目指して発足された団体「心游舎」が、一般公募の子供たちと共に「御花神饌プロジェクト」として神饌作りに関わられるようになりました。ほんのちょっと、旧儀に戻ったような感じでしょうか。
今年も9月15日の石清水祭で、御花神饌は献饌されます。お近くの方は、神に捧げる花を見に行くのもいいんじゃないでしょうか。
勅祭 石清水祭 – 石清水八幡宮
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