狩ったのはタヌキ?ムジナ?裁判沙汰にまでなった大正時代の「たぬき・むじな事件」
「同じ穴のムジナ」という慣用句がありますが、これはムジナもタヌキも実は同じ動物で、同じ巣穴に棲んでいることから「善人そうに見えて、実は悪人とグルだった」みたいなネガティブな意味で用いられます。
それじゃあ「ムジナ(貉)という動物は実在しないのか」と言うとそうでもなく、二ホンアナグマやハクビシン(白鼻芯)を指したり、更にはムササビ(鼯鼠)やモモンガ(摸摸具和)までごっちゃになった「マミ(猯、魔魅)」の概念と混同されたりなど、実にあいまいな状態です。
大正時代、そんなムジナのあいまいさが原因で訴訟に発展、当時の最高裁判所である大審院にまでもつれ込んだ事件がありました。
世に言う「たぬき・むじな事件」です。
男が「ムジナ」二頭を狩ること
時は大正十三1924年2月29日、栃木県上都賀郡(現:鹿沼市)のある男が、村田銃を担いで猟犬と一緒に山(同郡東大蘆村大字深岩)へ狩りに行きました。
男はさっそく「ムジナ」2頭を発見しましたが、初っ端から弾薬を浪費したくありませんでした。
そこで男は、とりあえず洞窟に「ムジナ」2頭を追い込んで閉じ込めておき、本命の大物を狙うため、より山奥へと進んでいきました。
その3日後の3月3日、果たして大物が獲れたかどうかはご想像にお任せするとして、帰り道。
洞窟の入り口を開けて、閉じ込めておいた「ムジナ」を2頭とも射殺。せめてもの?収獲として持ち帰ったのでした。