酒饅頭に茶饅頭…江戸時代の砂糖の値下がりと日本のおまんじゅう文化発展の関係
以前の記事では、日本の禅僧と中国からやって来た職人の出会いで日本式の饅頭が生まれ、その子孫が徳川家康と出会って、饅頭を定着させていく経緯を紹介しました。
お饅頭と徳川家康の深い関係?日本での最初のお饅頭はあんまんが元祖
観光地や温泉地での人気のお土産の一つに、お饅頭があります。お饅頭は、平和になって食が多様化した江戸時代に食文化の一つとして花開きましたが、そこに至るまでは長い歴史がありました。饅頭誕生の陰には三国…
今回は、江戸時代における饅頭の発展と現代に至るまでを紹介していきます。
甘味料が食文化史を変えた?砂糖の値下がりが饅頭の普及を促した
林浄因が伝えた、餡入りの饅頭作りに欠かせないのは、何と言っても甘味料です。アマズラと言う古代から伝わる甘味料や、輸入品の砂糖が少なかった南北朝・室町時代と異なって南蛮貿易で砂糖を多く輸入できるようになった近世は、饅頭を庶民の食文化として広める舞台でした。
饅頭に使う砂糖は輸入に加え、後期は奄美など国内生産もできるようになったため、安価とまではいかずとも、民衆や下級武士にも手の届く品物になりました。それによって我が国の饅頭は、お菓子として独自の発展を遂げます。
山芋と米粉を使った薯蕷(じょうよ)饅頭、酒種で発酵させた酒饅頭、黒砂糖を用いた茶饅頭など、今も銘菓として売られている饅頭の原型とも言うべき様々な物が作られ、地方色豊かに発展していきました。
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