大正時代は50種以上もの昆虫を食べていた!?日本の昆虫食の歴史をたどると驚くべき実態が:2ページ目
やっぱり昆虫食は佃煮に限る
江戸時代にもイナゴが食べられていたことがわかっています。江戸時代の有名な百科事典・守貞謾稿(もりさだまんこう)の中にはイナゴの蒲焼売り(螽蒲燒賣)の説明があり、イナゴを串に刺して蒲焼にして食べていたことが示されています。
江戸時代にはその他にもゲンゴロウやタガメ、虫の幼虫なども食されていました。調理方法は揚げたり茹でたり色々ありましたが、この頃からやはり佃煮は定番だったようです。蜂の幼虫も食べられていましたが、これは現在は「はちのこ」という名で呼ばれ、比較的メジャー?な昆虫食ですね。
江戸時代、「蚕のさなぎ」も食べられていましたが、これは養蚕がすでに行われていた平安時代頃から食べられていたとも考えられます。
大正時代の食用昆虫の調査では驚くべき結果が
大正時代には昆虫学者・三宅恒方によって食用・薬用昆虫の全国的な調査が行われました。これによると、食用として消費されていた昆虫は8目48種、所属不明7種、合計55種にもなりました。薬用としてはさらに多い123種。ただし、バッタ、チョウなどと回答したものが多かったので、種数は実際にはもっと多かったであろうと考えられています。(「昆虫食古今東西」 三橋 淳 著より)
なお、三宅恒方が1919年に作成した報告書はAgriKnowledgeで確認できます。
食用及薬用昆虫に関する調査
江戸時代以前の昆虫食に関する情報は現存する資料にはあまり記述が見られないため実態を把握しきれませんが、昆虫の種類の多さや食文化の地域差、そして大正時代の調査でこれだけ多くの昆虫が食されていたことを考えると、同等かそれ以上の昆虫が食されていたものと考えられるのではないでしょうか。
イナゴはどの時代においても食べ継がれてきた、日本のソウルフードと言うことがわかりました。今夜あたり、イナゴの佃煮を肴に一杯いっときますか。