活気があり賑やかだった江戸は、街角の芸人も多かったのが特徴です。相撲人気にあやかって、「ひとり相撲」という芸をする芸人もいました。どんな芸かというと…
まず、帯を締めない着物姿で裸足の、中年の太った男が手ぬぐいと扇子をもって、登場。そしておもむろに扇子を開いて差し出して、行司の真似を声高らかにして、芸の始まり始まり!この声を聞いて、近くにいた人が集まってきます。男が行司の役をすることで、見物人たちはひいき力士の名前を呼んで投げ銭して、賑やかに。
次に、力士の物まねをします。鼻をかむ仕草や土俵にあがる前に水を飲む仕草など、細かい力士の癖まで真似して、その巧みなこと!こうして、どんどん見物客を惹きつけるのです。行司の物真似、力士の物真似から取り組みまで、一人ですべてこなしているとは思えないほどの迫力満点。そして、お気に入りの力士の名前を呼びながら、また投げ銭する見物客たち。こういった芸が成り立つ江戸時代って、なんだか素敵ですね。