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『豊臣兄弟!』徳川家康(松下洸平)が「あやつらが恐ろしい」と漏らした“得体の知れない者”の正体とは?

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秀吉・光秀・川並衆に共通する経験とは

秀吉は、少年期から生まれた村を飛び出して放浪します。信長に仕えるまでの前半生は謎に包まれていますが、遠江の小領主・松下家に仕官した後は、針を商う商人として、尾張・美濃・近江などをめぐっていたとの説もあり、その地域の地理・流通・人間関係に精通していたともされます。

光秀についても前半生はよく分かっていません。一応、美濃の小領主の出身とすると、斎藤道三の死後、没落して各地を浪々し、越前に落ち着きます。つまり、彼も越前・美濃・近江にまたがる広い地域で活動していました。

正勝や長康らの川並衆は、木曽川・長良川流域の水運を統括する武士でありながら商人的なスタンスを持つ人々です。ですから、彼らは、広い地域の地理を把握しており、街道から外れた間道や土豪ネットワークを熟知した越境集団ともいえるのでした。

この「世上をする人」とは対照的に、家康は典型的な「在地領主型武士」です。幼いころから実家が衰退し、織田・今川の人質だったとはいっても、松平家は三河という土地とその家臣団に根差す、在地結合型の大名であったのです。

家康にとっては、土地にも主従関係にも縛られない者たちは、理解不能であり、「得体が知れない、恐ろしい」と捉えたのは極めて自然な感情でした。

金ケ崎城からの撤退戦は、撤退に必要なルートを熟知していること、その沿道の土豪などへの勢力に対して根回しや懐柔があってこそ、無事に帰還できたことは間違いないでしょう。

だからこそ、この撤退戦の成功は「世上をする人」たちが揃っていたからこそ可能になったと言えるのです。

そして、「世上をする人」を活用し、戦力化した信長は天下布武に向かい突き進んでいきます。その信長も「世上の人」である光秀の謀反により命を落とします。

そして、その光秀を討ち、天下統一を果たしたのが同じ「世上をする人」である豊臣秀吉でした。そのような経緯を見続けていた家康の脳裏には、彼らに対する畏怖が付きまとっていた可能性は否定できないでしょう。

それゆえ家康は、豊臣家を滅ぼした後、大名の領地を基盤とする確固たる幕藩体制を築いていった、とも考えられるのです。

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※参考文献
磯田道史著 『豊臣兄弟 天下を獲った処世術』文春新書

 

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