「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の総集編を、一気に放送する “べらぼうデー” 12月29日(月)が近づいてきました。
今年の最後に、もう一度お江戸の世界に浸れるのはファンとして嬉しい限り。そこで、“べらぼうデー”のお供にしていただきたく、記憶に残る“感動の名場面”を振り返りカテゴリー別にご紹介してきました。
『べらぼう』は終わらない!総集編の放送前に心に残った感動の名場面を振り返る【吉原・遊女編】
『べらぼう』の感動ふたたび!総集編の前に“エンタメの神々”の胸に刺さった名場面をもう一度【チーム蔦重編】
「印象的だった吉原の遊女たちの名場面【吉原・遊女編】」、「エンタメの神々の名場面【チーム蔦重編】」に続き、今回は、蔦重を生み育てた “4人の女神” の名場面を振り返ってみたいと思います。
「おっかさん」の温かくて大きな愛・実の母親つよの底力
“4人の女神”のひとりは、まず、蔦屋重三郎(横浜流星)を産んだ、実の母親のつよ(高岡早紀)です。ドラマでは、子供時代に蔦重を捨てたという話でした。
26話「三人の女」で、髪結いになっていたつよが浅間山の噴火で仕事ができなくなり、蔦重を頼ってひょっこり耕書堂に姿を表しました。「従業員の髪は私が結うので経費の節約になるだろ?」ということで居着くことになったつよ。
明るくて、人たらしでコミュ力が強いので、あっという間にお店の人々やお客さんに馴染んでいました。(蔦重は失礼にも「ベラバア(べらぼうなばばあ)」呼ばわりしてました。)
蔦重「ばばぁ、人の懐へぇるの恐ろしく上手くねぇですか?」
駿河屋の女将ふじ(飯島直子)「おつよさんは人たらしで評判だったからねぇ」
しみじみ、“血がつながった親子だなぁ”と笑わせてくれましたね。そっくりでした。
いつの間にか耕書堂になくてはならない人になった、つよ。ある日、旅に出る蔦重の髪を結い直しつつ「お前を捨てたのではなく、夫と一緒に借金取りから逃げるため、駿河屋市右衛門(高橋克実)に預けた」という事実を話します。
「柯理(からまる)」と蔦重の幼少期の名前で呼びかける、つよ。この名前で蔦重に呼びかけらるのは彼女だけですよね。
「あんたは強い子だよ。あんたは立派だよ……」と淡々と褒めつつ、「けれど、他の人はそんなに強くないから、もうちょっと気付けて、ありがたく思えるようになりな」と優しく諭しました。おっかさんに語りかけられた蔦重が、みるみる子供のような表情になったのも印象的。横浜流星さん、ほんと上手かったですね。
髪を整え終わった蔦重は、照れつつ「んじゃ、行ってくらぁ⋯お⋯おっかさん」と、初めておっかさんと呼びます。つよも「頼んだよ、重三郎」と。
ていは、実の子の蔦重はもちろん、義理の弟である歌麿のことも悩みを聞いてあげて“おっかさんに遠慮すんじゃないよ”と、母親として受け入れます。
「四の五の理屈は言わず、“子の存在”そのものを肯定する大きな愛」で彼らを包んでくれたつよは、この兄弟にとって女神だったと思います。
