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『べらぼう』 ”エンタメの奇跡”で暴動が収束も…新之助の死に苦しむ蔦重を救い出した歌麿【後編】

『べらぼう』 ”エンタメの奇跡”で暴動が収束も…新之助の死に苦しむ蔦重を救い出した歌麿【後編】:3ページ目

花・虫・かえる…生命力溢れる歌麿の画で生気を取り戻した蔦重

「絵てのは、命を写しとるようなもんだなて。いつかは消えていく命を紙の上に残す。命を写すことが俺のできる償いかもしんねえって思いだして。近頃は少し心が軽くなってきたよ。」という歌麿。

その言葉と、絵から溢れ出てくる生命力で、地獄に堕ちそうだった魂が体に戻ってきたかのように、生気を取り戻す蔦重。同時に失っていた感情が蘇り、身近な友人を失った現実が刺さり大泣きする。この流れは見事でしたね。

新さんってどんな顔をして死んだ?俺はさ、いい人生だったと思うんだよ。
さらいてえほど惚れた女がいて、その女と一緒になって。苦労もあっただろうけど、きっと楽しいときも山程あって。最後は世に向かっててめえの思いをぶつけて貫いて。だからとびきりいい顔しちゃいなかったかい?

という歌麿。

確かに、初めて訪れた吉原で、うつせみ(ふく/小野花梨)に一目惚れし両思いになり、彼女が自分を犠牲にして揚げ代を稼ぐほど惚れられて。一度は駆け落ちに失敗して痛い目にあうも、二度目は俄まつりの雑踏に紛れられたことと、花魁・松の井(久保田紗友)が背中を押してくれたことで成功し。

二人で農村に逃げて、貧しいけれども幸せに暮らしていたから、きっと楽しいときもいっぱいあったろうし、噴火で村を追い出された時は大変だったけれど、江戸に戻ってきたら蔦重や耕書堂の人々が温かく歓迎し、蔦重に長屋も仕事も世話になり。決して豊かではないものの、可愛い赤ちゃんも生まれて幸せそうでした。短い幸せだっけれど。

歌麿の言うように「世の中を明るくする男を守るという、大きな役目を果たせた。これが俺が生きてきた意味だった。これで大手を振って妻子に天国で再会できる」そんなふうに穏やかな気持ちで旅立ったのだと思います。

4ページ目 蔦重の“心”を救い出したのは、生地獄から二度救った歌麿

 

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