『べらぼう』幻覚に苦しむ歌麿、妻となる”きよ”と出逢い、師匠・石燕との再会でいよいよ覚醒か

「来たか……ついに」

永らく不遇をかこったすえ、幕政への復帰を果たした松平定信(井上祐貴)。さっそく一橋治済(生田斗真)らと連携して、着々と権力基盤を固めていきます。

「こりゃ、時は来たってことだろ!」

永らく有名絵師の画風を模写することで「人まね歌麿」の存在感を確立した喜多川歌麿(染谷将太)。このタイミングで独自の画風を打ち出し、歌麿を当代一の浮世絵師として売り出そうと張り切る蔦重(横浜流星)ですが……。

「時が……来た!」

そして天明6年(1786年)7月。関東地方を襲った集中豪雨によって利根川が決壊。江戸市中を濁流が襲いかかります。

永らく田沼意次(渡辺謙)を追い落とそうと機をうかがい続けた一橋治済。豪雨の中で喜びの舞いを天に奉げる姿に、多くの視聴者が不安に襲われたことでしょう。

今週は歌麿の葛藤と出会いがメインに描かれていました。それではNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第30回放送「人まね歌麿」を振り返っていきたいと思います。

定信の幕政復帰を許した田沼の隙

三浦庄司「あの癇癪小僧が江戸に戻って来るのですか?」

禍根をなるべく残さぬため、と白河藩の家格を高めて松平定信の幕政復帰を許した田沼意次。田安家の石高を召し上げられるならば幕府としても有り難く、高岳(冨岡愛)ら大奥も問題なしとの判断でした。

しかし蝦夷地や干拓などを厳しく追及され、目の上のたん瘤が増えてしまいます。やがてこの判断が田沼政権の命取りとなるのですが……では突っぱねればよかったのかと言われると、そうとばかりも言い切れません。

常に難しい判断を重ねながら「黒ごまむすびの会(反田沼・定信グループ)」と向き合うことになるのでした。

過去の亡霊に苛まれる歌麿

自身の画風を確立するため、蔦重の勧めで一世一代の枕絵に取り組み始めた歌麿。しかし独りになって筆を進めると、かつて明和の大火で見殺しにしてしまった母親(向里祐香)と、そのヒモだったヤス(高木勝也)の亡霊が現れます。

人殺しの絵など、誰が見たいものか……嘲り笑う二人の幻覚に苦しめられながら、歌麿が心身を病んでいく姿に、多くの視聴者が胸を痛めたことでしょう。

蔦重も違和感は覚えていたものの、自分は歌麿のことを誰よりもよく理解しているという慢心から、異変を見逃してしまったようです。

てい(橋本愛)の心配に対して声を荒げてしまう様子は、蔦重もどこか不安だったのでしょう。

4ページ目 後に妻となる”きよ”との出会い、師弟再会

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