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幕末の人斬り・岡田以蔵の美しすぎる「辞世の句」裏切られた師への想いと絶望的な最期

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以蔵の剣の腕と忠誠心を利用して、京都で佐幕派の暗殺という汚れ仕事をやらせまくるのです。ピュアな以蔵は師匠に認めてもらいたい一心で、京都でテロを繰り返します。

しかしその活躍も時間の問題でした。なぜなら土佐藩は江戸幕府開闘以来、強固な佐幕派なのです。一時はクーデター成功しますが、1863年の八月十八日の政変で過激尊王攘夷派が京都から一掃されると、形成逆転。土佐でも尊王攘夷派の大弾圧が始まります。

こうして以蔵や武市は、ついに捕まります。

一度捕まると以蔵は誰よりも弱虫で、拷問のたびに泣き喚いたそうです。武市は、メンタルの弱い以蔵が全部白状してしまうのを恐れ、おにぎりに毒をしこんで差し入れし、以蔵を殺そうとしたという説まであります(諸説あり)。しかし以蔵の執念か、死ねずに息を吹き返します。

そして、自分が武市瑞山に見捨てられた事に気がついた以蔵は憎しみの塊のようになり、ついに今まで行った暗殺や土佐勤王党の活動などを全て白状してしまいます。

これにより武市瑞山も死罪決定。

殺人鬼の彼が一番最後に殺したのは、皮肉にも彼が人生で誰よりも慕っていた武市瑞山だったのです。

命を預けた師匠に利用され、その師匠も自分の白状のせいで死罪確定という絶望の淵で、以蔵は空っぽの心で空を見上げたのでしょうか。

君がため 尽す心は 水の泡 消えにし後は 澄み渡る空

この透き通るような綺麗な句は、そんな状況で詠まれました。以蔵の唯一の信念は、尊王でも攘夷でもなく、武市瑞山という人間だったのだと訴えかけてくる、切ない辞世の句です。

参考文献: 菊地 明「幕末百人一首」学研新書

 

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