秋といえば月、中秋の名月といえば九月の十五夜。
中秋とは秋の中日のことで旧暦8月の真ん中の15日を指しますが、今年は9月17日でしたね。
で、このお月見、お菓子を食べて、漫然と月を眺めるだけと思ってる方いませんか?
満月が出て夜の空気が澄んでいたら適当にのんびり楽しむ…のもいいですが、平安時代は趣向が違いました。
ちなみに以前、「最中」という和菓子は「月見の最中」に食べたお菓子ということを紹介したので、合わせて読んでみてくださいね。
自慢したい系雑学!お菓子の最中ってなぜ「さいちゅう」って書くの?一体、何のさいちゅうなんだ?
突然ですが最中(もなか)って、なんで「さいちゅう」って書くのだろう…と思ったことはありませんか?で、一体なんのさいちゅうなの?実は、中秋の名月に関係がありました。一遍の和歌から…
現代では収穫や秋の実りに感謝する意味合いが強いですが、平安時代の貴族は澄んだ秋の夜空に浮かぶ月を、あれやこれやといろいろな方法で風流に愛でていたそう。
例えば盛んだった「舟遊び」。船に乗って水面に写った揺れる月を眺め、それを歌に詠み愉しむ。または客人を招いて、庭の池や杯に映った月を眺めて愉しむなど。
とにかく直接月を見るのは無粋!なんですね。
・嵯峨天皇は龍頭鷁首(げきす)舟などを浮かべて貴族たちと月を愛でました。
・後陽成天皇は、なんとナスに開けた穴から月を見たというエピソードが、『御湯殿上日記』の「名月の祝」に記されています。
・紫式部の書いた平安時代の物語『源氏物語』にも「月の宴(えん)」が描かれています。
ちなみに中秋の名月が雲に隠れて見えなければ「無月(むげつ)」、雨が降ってしまったら「雨月(うげつ)」、前日は「待宵(まつよい)」、後日は「十六夜(いざよい)」と呼びました。目に見えずとも、そこにあるはずの月を愛でる風情がいいですね。