江戸時代の終わりごろから、明治維新にかけての幕末期は、世の中が大きく変わった激動の時代でした。坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允など、さまざまな著名人がいるなか、名前こそあまり目立たないものの、とても大きな功績を残した人物がいます。
彼の名は、江川英龍(えがわひでたつ)。
今回の記事では、意外なものの「祖」とも呼ばれる彼について、迫ってみたいと思います。
江川英龍の生まれ育ち
江川英龍は、1801年に、伊豆国韮山(にらやま)の代官の家に生まれました。代官とは、幕府の直轄地を管理する役人のことを指します。ちなみに、江川家は鎌倉時代以前からこの地を支配してきた一族でした。
「代官」と聞くと、時代劇などの影響で悪人をイメージするかもしれませんが、江川家は代々韮山代官を務めているため、悪評はなかったと思われます。
英龍の父・英毅(ひでたけ)は文化人たちとの交流を持ち、風流な人物でした。母は控えめな良妻賢母。そんな両親のもと、英龍は目標を達成するために努力する性格を身につけていきます。