坊主・小僧・入道…なぜ日本の妖怪には「僧侶系」が多い?寺院と庶民の関係から考察

たくさんの「僧侶系」妖怪

日本には数多くの妖怪が存在しますが、その中には入道・坊主・小僧・法師など、僧侶に関係するものが多く見られます。

『ゲゲゲの鬼太郎』を始めとする妖怪エンターテイメント作品に触れたことがある人なら、心当たりがあるでしょう。一つ目小僧に袖引き小僧、海坊主に黒坊主、見越入道に輪入道、海難法師に甲羅法師……。このほか「坊」だけがつく妖怪まで含めれば枚挙に暇がありません。

では、なぜ日本の妖怪には僧侶に関係するものが多いのでしょうか?

もちろん、本当のところは妖怪に名前をつけた人に聞かなければ分かりませんが、考えるためのヒントはあります。

例えば「〇〇男」「○○女」「○○爺」「○○婆」という形で名付けられている妖怪が多いのは、ある種の男性・女性・老爺・老婆が厄介な存在だというイメージが昔の人にはあったからでしょう。

たぶん人間のそういうメンタリティは昔も今も変わらず、私たちは嫌な人に対してそんなふうにあだ名をつけたりしますね。

そう考えると、昔の日本人にとって、僧侶というのは実は嫌われ者・鼻つまみ者だったのではないかという推測が成り立ちます。

では、昔の僧侶はそんなに嫌われていたのでしょうか。その答えは、江戸時代までの日本社会における寺と庶民の関係にあります。

3ページ目 嫌われる僧侶

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