令和5年(2023年)7月16日(日)、大日本弓馬会鎌倉教場(神奈川県鎌倉市梶原)にて開催された流鏑馬神事(やぶさめしんじ)を見学させていただきました。
流鏑馬とは1500年以上の歴史を持つ騎射三物(きしゃみつもの)の中でも特に重んじられ、鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』などにもしばしば登場。
往時の御家人たちが天下泰平や五穀豊穣を祈願し、神前で互いの腕を競い合ったと伝えられます。
厳密には神前に奉納する騎射のみを流鏑馬と言いますが、現代では概ね騎射≒流鏑馬となっているようです。
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人馬一体の勇姿に拍手喝采!
当日は炎天下にもかかわらず多くの観覧客で賑わい、日本文化ひいては鎌倉武士に対する興味関心の高さがうかがわれました。
会場では流鏑馬をはじめ神事や武家文化の由来などがアナウンスされ、外国の方にも分かりやすく英語でも紹介。こうした創意工夫は好印象ですね。
さて、本番ではまず馬を馬場に慣らす素馳(すばせ。何もせずそのまま駆け抜ける)が行われ、それから神前に奉納する奉射(ほうしゃ)が始まります。
60メートル間隔で設置された3つの的を射ながら、全長220メートルの馬場を駆け抜ける人馬一体の勇姿。そのさまは、往時の鎌倉武士を彷彿とさせました。
そして成績上位者が選抜されて競射(きょうしゃ)が行われ、最終勝者が決しました。
的は段階が進むにつれて小さくなると共に、当たり判定が厳しくなります(的を射抜かねばダメ、など)。
最後は素焼きの小さな的を射抜き割ると、中から紙吹雪が舞い散る趣向。みごとに的中すると観覧席から歓声と拍手が上がり、大盛況の内に終了しました。
終わりに
その後は大鎧を着装しての騎射デモンストレーションが行われました。
普段の狩装束とは勝手が異なり苦戦されていましたが、今後もこうした武士の戦い方などを探求する、新たな取り組みに挑戦していくとの事です。
他にも馬とのふれあい(子ども曳馬やエサやり体験など)や騎手との交流など、実に盛りだくさんの内容でした。
本イベントは日本博2.0の委託事業として開催されたもの。令和7年(2025年)日本国際博覧会の機運を醸成し、日本の国内外に美と心を体現する文化芸術の振興・発信を意図する狙いがあるそうです。
本イベントをキッカケに、日本文化の魅力が広く認知され、末永く受け継がれることを願ってやみません。