「福」を呼び込め!陰陽道から生まれた幸運を祝う浮世絵「有卦絵」とは【前編】

風信子

人間というものが地球上に誕生して以来、人間は常に“不安”と闘い続けてきました。“不安”には2種類あり、1つは“目に見える不安”、もう1つは“目に見えない不安”です。

“目に見える不安”ならば努力したり、対策を講じたりして戦うことが出来ますが、“目に見えない不安”の場合はどうしたらいいのでしょう。

そこで人間は大昔から『占い』によって“目に見えない不安”を解決しようとしたのです。

有卦絵(うけえ)とは

日本では大衆に古くから親しまれていたものに「陰陽道(おんみょうどう)」という考え方があり、占術としても活用されてきました。

「陰陽道」には人生には7年間幸運が続く「有卦(うけ)」という期間があり、この“有卦に入った人”にお祝いとして贈ったり、家に飾る浮世絵を『有卦絵(うけえ)』と言いました。

 

上掲の浮世絵が『有卦絵』です。この有卦絵のタイトルであり画像の上部右側にも描かれている「金性の人」とは、陰陽道にある五行思想、“木、火、土、金、水”に基づき、生年月日から「五行思想」のどの性質に属する人かを導き出したものです。

 

左上には「金性年齢」が記された額が飾られており、この「金性」の人が“有卦”の時期に入ったことを表しているのです。

そこで人々は仏説にある“(七難即滅)七福即生”の思想(七難が消滅し、たちまち福が生まれる)を“有卦七年”にかけて、有卦に入る人は頭に「ふ」のついた七種の物を備えて祝っていました。

そのため“有卦絵”にはその画中に富士山、福助、福寿草、福禄寿、藤、筆、瓢(ふくべ)などの「ふ」の字がついた物が描かれました。

 

上掲の『有卦絵』にも沢山の「ふ」がつくものが描かれています。

3ページ目 いったい「ふ」はどこに描かれている?

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