♪しょ しょ 証城寺(しょうじょうじ) 証城寺の庭は
つ つ 月夜だ みんな出て こいこいこい……♪
昔むかし、狸と和尚さんが楽しくコラボした情景を愉快に歌った「証城寺の狸ばやし」。
千葉県木更津市に実在する證誠寺(しょうじょうじ)を舞台に、現地で伝わる民話をモチーフとした童謡として有名ですが、実は歌詞で言及されていない「悲しい結末」があったのをご存じでしょうか。
今回は明るくリズミカルな童謡「証城寺の狸ばやし」について紹介したいと思います。
「お化け寺」に住み着いた和尚
今は昔、證誠寺の一帯は鈴森(すずもり)と呼ばれ、鬱蒼と生い茂った竹やぶで昼なお暗く薄気味悪い場所だったそうです。
そんな場所なので、自然と「お化けが出るに違いない」と噂になり、その期待?に応えるかのごとくお化けが出没。
そのお化けたちは鈴森に棲む狸たちが変化(へんげ)したもので、人間を驚かせては退屈しのぎに興じたり、慌てて落とした御馳走や金品を巻き上げたりしていたそうです。
かくして誰も近寄らなくなった證誠寺は「お化け寺」と呼ばれ、住職など当然いませんでしたが、ある時、とある和尚が寺に住み着くようになると、狸たちは和尚を追い出そうと変化の術を試みます。
しかし、この和尚がたいそう風変りで、どんなお化けが現れようと一向に驚く様子どころか、出ていく気配も見せませんでした。
このままでは狸が廃る……万策尽きた親分狸は「どうにかして、あの和尚を驚かせてやろう」と一策を講じるのでした。