ゲスの極み!鬼畜の所業!平貞盛が自分の孫を殺そうとした理由がエゴすぎる【上編】:4ページ目
妻子の命を助けるには?
「……ぐぅっ……!」
「いやぁ~、若君は大変な『孝行息子』にございますなぁ~……」
刃を突きつけてくる判官代の下卑た笑いを背に受けて、ここに進退窮まった左衛門尉は、その場でこそ仕方なく「……仰せのままに」と答えますが、身柄を解放されるや否や、すぐさま医師の元を訪ねます。
「……自分が助かりたいから、息子の嫁と赤子を殺そうなどと狂気の沙汰……先生、どうかお助け下され!」
ふむ、と医師も考えます。確かに、年寄りのエゴを優先して未来ある若者たちを死なせるのはあまりに忍びないものです。
「……ようおす。わてに任せなはれ」
「かたじけない、先生だけが恃みにございますれば……!」
藁にもすがる想いでその場を辞した左衛門尉と入れ替わりに、貞盛がやって来ました。その用件は、もちろん「児干」を入手するアテができた報告と、治療開始の依頼です。
さて、医師は左衛門尉の妻子を助けることが出来るのでしょうか?……その続きは、また次回に。
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ゲスの極み!鬼畜の所業!平貞盛が自分の孫を殺そうとした理由がエゴすぎる【中編】
前回のあらすじ前回の記事はこちら[insert_post id=101378]丹波の国司・平貞盛(たいらの さだもり)は不治の病を患い、その特効薬として胎児の肝臓である「児干(じかん)…
※参考文献:
乃至政彦『平将門と天慶の乱』講談社現代新書、平成三十一2019年4月10日
正宗敦夫『日本古典全集 今昔物語集』日本古典全集刊行会、昭和七1932年