「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」
今回は、このことわざを取り上げて、その意味と、どこからやってきたのか、語源・由来をご紹介したいと思います。
前回の、清少納言「枕草子」の中で書いた一文から生まれたことわざについてはこちらから。
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「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」の意味は?
これは、「ミーンミンミンと激しく鳴く蝉と違って、蛍は鳴くことができないけれど、それだけに身に秘めた激しい思いで身を焦がすように光っているんだよ」という意味のことわざです。つまり口に出してあれこれ言う人よりも、口に出さずに内に秘めている思いの方が切実なのだ、ということをたとえで言っていることわざです。
蝉の部分を省いて、「鳴かぬ蛍が身を焦がす」と言われることも多々あります。
このことわざの語源は都々逸なの?
このことわざは、「恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」という都々逸から来ているという説があります。
都々逸というのは、江戸時代末期に完成された、七・七・七・五の音数律から成る口語定型詩です。恋愛をテーマに、寄席などの舞台の上で三味線などに合わせて歌われていました。
「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」ということわざ、果たしてこの都々逸から生まれたものなのでしょうか?
この言葉、歌舞伎や人形浄瑠璃にも使われているのですよね。それを考えると、このことわざ、どうも都々逸以外のものからきていると考えた方がよさそうです。