形が歪んでいることやその様子を意味する「いびつ」。
この言葉を漢字で書くと、「飯櫃」あるいは、「歪」となります。漢字が示しているように、もともと炊きあがったご飯を釜から移し替えるための容器「飯櫃」(いいびつ)のことで、丁寧にいうと「おひつ」(お櫃)となります。「櫃」とは、二のついた木製の容器のことで、今でいう「ジャー」のようなやくわりをしていました。
昔の「おひつ」は完全な円形ではなく、楕円形になっていたことから、転じて歪んでいるものを指す言葉になったと考えられています。
ちなみに、千葉県芝山町には戦国時代、この飯櫃に由来する「飯櫃城」という城があり、同地国人・山室氏の居城になっていました。
もう一つの漢字である「歪」ですが、この字は「ゆがみ」(歪み)と「ひずみ」(歪み)と書くこともできます。
「ゆがみ」も「ひずみ」も、両方とも「本来の形が変形していびつになること」を指す言葉ですが、「ゆがみ」が主に使われるのは、本来の形が直線や平面であったものが、何らかの作用によって変形する場合です。
また、「ゆがみ」は、「心がゆがむ」「性格がゆがむ」など、比喩表現として心や性格に使われる場合があります。このように「ゆがみ」が主に使われるのは、ある物の形がゆがんだ結果として生じたズレを言い表す場合です。
3ページ目 「ひずみ」という言葉は変形によって生じたズレそのもの