古典文学の勉強をしていて、不思議に思ったことがありました。
「藤原道長の長女で、一条天皇に嫁がれた藤原『彰子』って、なんで『しょうし』って読むんだろう?」
普通に考えれば「しょうこ」or「あきこ」が自然だと思いますが、これまで「まぁ、やんごとなき方々のことだから、何か伝統的なしきたりでもあるんでしょう」程度に考えていました。
しかし、これが絶対正しいに読み方、という訳ではないようです。
近代国文学の知恵
昔の文献に登場する人名はルビが振られていないことが多く、訓読みも音読みもあくまで後世の推測による便宜上のものに過ぎないことが多いです。
それなら藤原彰子は素直に「しょうこ」で良さそうなものですが、漢字の中には色んな意味を持ったものも多く、その中から良い意味を持った読み方を採用していくと、極端な話「よしこ」「ながこ」「やすこ」など、無難な名前ばかりになってしまう可能性もあります。
そこで近代国文学の知恵として、著名人の名前を音読みにする(例:『信長(しんちょう)公記』)という手法が採られてきたのでした。
つまり、結論としては「音読みはちょっと考えにくいけど、訓読みだったという確証はない」と言ったところです。
しかし、それだと不便でしょうがない。なんで最初からルビを振っておかないんだ……と思う方もあるでしょうが、以下に紹介する書物が、一つのヒントになるかも知れません。