じゃんけんの「けん」って何のこと?江戸時代に古代中国の拳法が伝えられ生まれたじゃんけん

湯本泰隆

「じゃん・けん・ぽん!」

鬼ごっこやかくれんぼの鬼を決めるとき、あるいは順番をきめるとき、行われる「じゃんけん」。筆者も少年時代、給食の残り物の争奪をじゃんけんなどで行っていましたが、筆者の場合は比較的強いほうでした。

この3種類の指の出し方(グー・チョキ・パー)で三すくみを構成し、勝敗を決める遊びは、「日本発祥」と考えられている方もときどきおられるようです。

実は「じゃんけん」の「けん」とは「拳」のことを指します。これは、「拳法」の拳と同じ意味ですね。「拳」とは、掌の開握・指の屈伸などで勝敗を決める競技のことをいいます。

元禄時代、中国から長崎を経由して拇拳(ゆびけん)という「拳」が伝わりました。これは、二人の決戦者がそれぞれ対座し、互いの右手の指を屈伸して、すばやく繰り出す相手方の指の数を、予測し言い当てた方を勝ちとする遊びで、宴会や座敷遊びなどで行われるようになりました。負けた者には酒を飲ませるなどしたと伝えらえています。長崎に伝えられたので「長崎拳」とも呼ばれ、また「本拳」という名でも呼ばれました。

3ページ目 今日のような「じゃんけん」は明治時代ごろから

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