お中元の時季ですね。定番の品と言えば、ビールやハム、ゼリー、素麺などでしょうか。
では、その素麺。他に材料がほぼ同じだけど、幅が違うだけで名前が全く違う食べ物があるんです。それはこちら。
そう、うどんなんです。他にも冷麦が該当します。先述の通り、材料にほぼ差はありません。小麦粉、塩、水。素麺の場合はこれらに植物油が入ります。
そもそも、素麺は奈良時代に中国から伝わった「索餅(そうぴん)」が元になっています。その後、鎌倉~室町時代にかけ、中国で開発された新しい技術(麺の表面に油を塗って、細かく長く手延べするというもの)が伝わり、現在の素麺になりました。
では、うどんや冷や麦と言うと、こちらは鎌倉~室町時代にかけ日本にやってきました。当時は「切り麦」と呼ばれていたそうです。素麺を手延べするのに対し、こちらは麺棒で伸ばし包丁で切っていました。今のうどんと同じような作り方です。この「切り麦」が後に分化していき、うどんと冷や麦になりました。
そこから時代は流れ、機械製麺が登場しました。ざっくり言えば、機械が材料を混ぜ合わせ捏ねて、生地を無数の穴から心太状に押し出し、適当な長さに切って、それを乾燥させるというものです。それがうどんや素麺などに似ているのですが、その時に素麺より少し幅が太い物を、冷や麦として販売しました。しかし、世間は混乱し、苦肉の策にピンクや緑色の麺が入れられることもありました。
業者が適当に分類し商品名を付け販売したので、細い冷麦と太いそうめんの区別がつきにくくなりました。
そこで、JAS(日本農林規格)がその混乱の収拾をつけるために以下のような規約を設けました。
素麺…機械製麺の場合、角棒状→幅0.7~1.2mm、厚さ1.0mm未満、丸棒状→直径0.8~1.3mm、手延べの場合は1.3mm未満。
冷や麦…機械製麺の場合、角棒状→幅1.2~1.7mm、厚さ1.0~2.0mm、丸棒状→直径1.3~1.7mm、手延べの場合は1.3mm~1.7mm。
うどん…素麺や冷や麦より太いもの(1.7mm以上)。(生うどんは別)
時代背景は違う三種の麺ですが、現在では(機械製麺に限り)幅や厚さだけで名称が変わるのですね。何だか味気ないような気もしますが、これから召し上がるときは、ぜひその歴史も併せてご賞味ください。