毎年多くの台風に見舞われる日本ですが、それは昔も変わりませんでした。特に江戸時代の「安政3年の台風」は江戸の町に甚大な被害をもたらしました。
歴史上の台風
そもそも台風の歴史をご存知でしょうか? 実は「台風」という名称が使われるようになったのは1956年(昭和31年)と、わりと最近のことです。それまではどう呼ばれていたのでしょうか?
平安時代は「野分(のわき・のわけ)」と呼ばれていました。風が野の草を吹いて分けることからこの名称が付きました。あの『源氏物語』にもその名称を確認することができます。江戸時代になると「颶風(ぐふう)」と呼ばれるようになり、明治時代になって「大風(おおかぜ)」や「颱風(たいふう)」と今日にも通ずる呼び方になりました。
歴史上で有名な台風が「弘安の台風」。1281年(弘安4年)、この台風が日本に侵攻してきたモンゴル軍を襲い、撤退に追い込みました。このことから「神風」なんて呼ばれています。
「安政3年の台風」って?
「安政3年の台風」は1856年9月23日から24日の夜にかけて関東地方を襲った台風。非常に強い勢力を持ったまま、伊豆半島付近から江戸の西側を通過しました。恐るべきはその猛烈な風でした。風による被害だけでなく、それによって引き起こされた高潮と洪水が江戸の町を襲ったのです。被害は江戸をはじめ、関東の広い範囲に及び、約10万人もの死者を出しました。