織田信長が小姓を呼びつけておいて「何でもない」実は“試して”いた、信長の繊細すぎる人材登用術:2ページ目
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ようやく分かった信長の真意
またしばらくして、信長は小姓を呼びつけました。
「誰かおらぬか」
三人目の小姓も部屋に入り「何用にございましょうか」とうかがいます。
信長は今度も「いや、何でもない」と答えました。本当に、何が目的なのでしょうか。
「また何か御用の折は、お呼びつけくださいませ」と三人目の小姓が退出しようとして……。
部屋の隅にゴミが落ちているのを発見。彼はこれを拾ってから退出したのでした。
このゴミ、実は信長が用意したもの。呼びつけた小姓が退出する際、これに気づくか(拾うか)試していたのです。
呼ばれたからやって来て、何もないからそのまま帰るのでは能がありません。
冷静に周囲を見て状況をとらえ、自分にできることを実行する才覚を見抜こうとしたのでした。
かくして三番目の小姓が、信長から重く用いられたのは言うまでもありません。
終わりに
今回は信長が小姓たちを試したエピソードを紹介してきました。
信長と言えば「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の歌に表される激しいイメージが先走るものの、冷静な判断や的確な行動を評価する繊細な一面もあったようです。
現代に生きる私たちも、冷静な判断力と的確な行動力で、周囲の評価や人生の成功を勝ち取りたいものですね。
※参考文献:
- 笠谷和比古『武士道 サムライ精神の言葉』青春出版社、2008年8月
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