【べらぼう】平賀源内(安田顕)の化身?鳥山石燕(片岡鶴太郎)が最期に視た「雷獣」とはどんな妖怪か

NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」皆さんも楽しんでいますか?

さて、第35回放送「間違凧文武二道(まちがいだこ ぶんぶのふたみち)」では、喜多川歌麿(染谷将太)の師匠であった鳥山石燕(片岡鶴太郎)が大往生を遂げます。時に天明8年(1788年)8月23日、享年77歳でした。

雷鳴とどろく中、闇の中に浮かび上がった妖怪の姿を写しとってやろうと、最期まで絵筆を手放さずに描き上げたのは雷獣(らいじゅう)。その名の通り、雷と共に現れる妖怪です。

劇中では亡き平賀源内(安田顕)との共通点(髷のような鶏冠、着物のような意匠)が示唆され、以前に田沼意次(渡辺謙)が「(自分に対する批判を)許さぬなどと言ったら、源内が雷を落として来よう」と言及したことと無関係ではないでしょう。

第36回放送「鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)」でも源内?の亡霊説が出回るようで、どのような展開になるか気になるところです。

ところで、この雷獣とは一体どんな妖怪なのか、紹介したいと思います。

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特定の動物ではない?

雷獣は東日本を中心に各地で伝承が残されている妖怪で、江戸時代から近代以降も、しばしば言及されてきました。

かつて『平家物語』で退治された妖怪・鵺(ぬえ)は雷獣ではないかと言われているそうです。

その外見については諸説あり、獣のような姿をしていたり、鳥のように翼が生えていたりと一様ではありません。

多く目撃されている姿は体長2尺(約60cm)ばかり。概ねイヌ・タヌキ・イタチ・ムジナ・ハクビシン・オオカミ等に似ていて、尾が長く、鋭い爪を持っているというものでした。

なお雷獣とは雷と共に天から落ちてきた幻獣の総称であり、一定の種族ではないとする見方もあります。

大河ドラマの劇中で描かれていた雷獣は鳥のようであり、鳥山石燕が生前に発表した中で最も近いビジュアルの妖怪は『今昔画図続百鬼(こんじゃくがず ぞくひゃっき。安永8・1779年刊)』に登場する以津真天(いつまで)でしょうか。

鳥山石燕が生前に雷獣を描いたという記録は残っていませんが、もし雷獣を描いていたら、どのような姿に描いたか、興味深いところです。

最後に出版された妖怪画集は天明4年(1784年)の『百器徒然袋(ひゃっき つれづれぶくろ)』。もしまだ健在だったら、より多くの妖怪たちを世に描き遺したでしょうに、残念でなりませんね。

2ページ目 「雷獣」にまつわる伝承の例

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