島崎藤村の「木曾路はすべて山の中である」の始まりで有名な小説『夜明け前』の舞台になった長野県の木曽。そこへ旅行に行ってきました。
木曽福島を訪れた際に、天下の奇祭「みこしまくり」という存在を知りました。みなさんはご存知でしょうか。
その祭り、なんとお神輿を落として転がして最後には壊してしまうという荒々しさ。
「まくり」とは「転がす」という意味です。
普通、神輿には神様がいらっしゃるので丁重に扱うもののはず。それを横転させて縦にひっくり返して…驚きですよね。
しかもこのお祭りは、神輿を扱っている間、担ぎ手たちがずっと「宗助!幸助!」と叫ぶのです。
祭りの内容
このお祭りは、「水無神社」(すいむじんじゃ)由来のもの。
1日目には御神体が神社から御輿へと移され、御輿は天狗の装いをした「猿田彦の神」に先導されて町内を練り歩きます。この白木の御輿は毎年新しく造られており、その重さは約100貫(400kg)。
御輿の前後には「宗助・幸助」と呼ばれる2人の『精進』が付いて歩きます(宗助・幸助のことは後述します)。町内の約半分を練り歩き、上の段と呼ばれる江戸の風情の残る地域にある「御旅所(おかりや)」という場所で一晩を過ごし、一日目は終了です。
2日目、御輿は同じように町内の残りの半分を練り歩きます。夕方になると、いよいよ最初の「横まくり」が行なわれます。そして夜になると「宗助!幸助!」の掛け声とともに、縦に横にと豪快にまくられていくのです。