「倒幕はしない」同盟だった?
幕末の歴史物語の名シーンとして語り継がれているのが、薩長同盟が結ばれたシーンです。
薩長同盟とは、それまで犬猿の仲だった長州藩と薩摩藩が、いがみ合っていた過去を水に流そう、そして同盟を結ぼうということで1866年に成立したものです。
特に、この薩長同盟締結の場面は、坂本龍馬の物語の中で描かれることが多いです。坂本は両藩の仲介を果たした人物で、彼のおかげで薩長は結束することができ、「新しい日本」を作るための起爆剤となった――というストーリーで認識されているからです。
ただ、この薩長同盟の目的については、最近は通説と異なった見方も出ています。
薩長同盟は京の薩摩藩邸で行われていますが、この時に交わされた同名の条文には倒幕に関する記述は存在していないのです。
その後の歴史を見ると、実際には薩長連合が武力によって倒幕を果たしています。また、歴史物語の中でも、薩長同盟はまさに「今の幕府を倒すために」結ばれたものとされることが多いです。
つまり、一般には薩長同盟は軍事同盟として認識されているはずなのですが、条文には倒幕についての内容は一切ないのです。これはどうしたことでしょう?