チーズケーキはいつ「定番」になった?日本人のチーズおよびチーズケーキ受容の歴史【前編】

なかなか日本では馴染まなかった「チーズ」

チーズケーキといえば、特に女性が好む定番ケーキというイメージがありますね。そもそも、男性よりも女性はチーズが好きだともよく言われます。

そんな定番ケーキであるチーズケーキが日本で紹介されたのは明治時代のことです。ただ、もともと日本にはチーズを一般庶民が食べる習慣がなかったので、チーズケーキもすぐに定着することはありませんでした。

歴史を遡ると、奈良時代に「酥(そ)」というチーズと似た加工食品も作られていますが、これは人々の口に合わなかったらしく、普及・発展には至っていません。

他にも日本の古い乳製品として「酪」「蘇」なども有名ですが、いずれも基本的に皇族や貴族の食べ物だったことや、仏教で肉食禁止令が出されたこともあって、武家社会以降の日本ではこうした食べ物は普及しなかったようです。

つまり、もともと日本人にとってチーズは食べ慣れないものだったわけです。紀元前からチーズを食べていたと言われている中東や西欧とは、その点で全く異なっていました。

こうした経緯を見ると、日本で紹介されたチーズケーキというお菓子は、前途多難だったと言えるでしょう。

2ページ目 明治時代に紹介され始める

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