日本では落とし物をしても、交番に相談すれば、かなり高い確率で手元に戻って来ます。
当たり前のようですが、これは実は世界的に見ても珍しく、素晴らしいことなのだそうです。諸外国ではそのまま盗まれてしまうのが普通なのだとか。
ところで、昔の人は落とし物をしたら、どこに相談したのでしょうか。調べてみたら、そういう担当部署があったようです。
そこで今回は、平安時代以前に落とし物を管轄していた贓贖司(あがもののつかさ/ぞうしょくし)について紹介。落とし物の外には、どんな仕事をしていたのでしょうか。
贓贖司とは
【結論】盗品や没収品、ほか落とし物を管理する部署
贓贖司という名前のうち「贓(ゾウ/かくす)」とは盗んだり、だまし取ったりした品物。つまり犯罪による不正取得物を押収・管理しました。
元の持ち主が判った場合は返還したのか、それとも丸ごと国庫へ入れたのでしょうか。手数料を差し引いて返還した可能性も考えられますね。その辺りの事情は、改めて詳しく調べたいところです。
次に「贖(ショク/あがなう)」とは財産刑(没収や罰金など)によって納められた金品を指し、それを国庫に入れるのも彼らが担当していました。
そのほか闌遺(らんい)も彼らの管轄でした。闌遺とは家畜が脱走してしまうことで、これが転じて遺失物(落とし物)を意味するようになります。
「すみません、ウチの馬が逃げちゃったんですけど、こちらへ届けられていませんか?」
なんて相談があったのでしょうか。そういう場合、発見した皆さんは正直に届けてあげたのか気になりますね。
また、なりすましを防止するための返還手続きなどについても調査を進めたいところです。