日本語ではないですが、日本でも散々つかわれている言葉に「タブー」というのがあります。これは何語かご存じですか? なんとなく和製英語なのかなーという程度で、気にとめない人が多いかもしれません。
実はポリネシア語だったんです。
元来、ta(=印をつける)とpu(=強烈さを示す副詞)が結合して、「はっきり印をつけられた」とか「くぎられる」とかを意味する言葉でした。
タブーの使い方は、例えば食料統制者が「ある食物のタブーを布告する」と、次の収穫までそれを食べることは禁止されるといった使い方をされました。そして、このタブーは宣告者より位の高い者や上位の官職につく者だけが無効にできました。
このように「印という象徴で行為が制限される」という特殊な概念に西洋人が触れたとき、誤解が生じたようです。
誤解してしまったのはJ・クック
タブーということばは、イギリス人の海洋探検家J・クックが18世紀末に西洋人として初めて記述しました。英語には同じ意味をもつ単語がなかったので、本来単一の概念であるタブーを「禁止」と「神聖」という二つの概念に分解して理解するようにつとめました。
そして迷信めいたもの、未開人にとっての不浄のもの、原始的な宗教概念のように曲解してしまったのです。
日本でもなんだかおどろおどろしいような場面で使われることが多い気がしますね。
ある村で禁忌を破って呪われるとか、不吉だから生死に関わる言葉を口にしてはならないとか、男女の営みなど隠すべきもので他人が触れてはならないとか、「神聖」「迷信」「穢(けがれ)」のイメージが強い気がしますが、実はそうではなかったのですね。