忌み数としての「三」
日本には忌み数(いみかず)という文化があります。
本来、数字そのものにはいい意味も悪い意味もないのですが、あえて縁起のいい数字と悪い数字に分けて、場所によってその数字を使い分けるというものです。
例えば、病院やマンションの部屋番号に四(死)と九(苦)の二つがあまり使われないのは、ご存じの方も多いでしょう。
そんな中で、いい意味と悪い意味を併せ持っているのが「三」です。
例えば飲み会で「駆けつけ三杯」という古い風習があります。遅れてきた人にとりあえずお酒を三杯飲ませるというもので、これは式三献という儀式が由来とされています。
式三献は、日本の正式な饗宴で行われた儀礼的な酒宴の作法で、肴の膳を出して酒を三度すすめることを一献と数え、初献・二献・三献と膳を替えて三回繰り返すというものです。
平安時代からあった習慣のようですが、次第に様式が整えられ、室町時代に「式三献」という言葉が定着しました。
つまり「駆けつけ三杯」や「式三献」では、三の数字はいい意味で使われています。
中国では奇数を縁起のいい数字として用いることがよくあり、おそらく日本もその概念を受け継いだのでしょう。
中国では、「三」は物事の区切りを指す数字だと考えられており、三年や三カ月など、「三」にまつわるタイミングで変化が起こることが多いとされています。