癪は女性の病気?
癇癪もち、癪に触る…など慣用句ではまだ使われている「癪(しゃく)」。
かつては女性の病気の代名詞といわれていましたが、実際、この病気は一体何だったのでしょうか?
昔は上腹部や鳩尾(みぞおち)が差し込むように痛むものの総称を癪と呼んでいました。
胃痛だと考えれば男女ともに起こるはずですが、神経性やヒステリックになりやすいことと結びつけられて、なぜか女性特有の病気とみなされてきました。
川柳でも「切れるという字、只見ても癪」(男との縁が切れることを想像するから切れるという字を見るだけで癪が起きる)などと詠まれたりも。
結局その当時、西洋医学にはない言葉だったので、明治期に日本語をポルトガル語に訳した『日葡(にっぽ)辞書』では「脾臓の病気、凝結した血のせいによる病」と説明されていました。
現代の辞書では「胸部または腹部におこる一種のけいれん痛で、多く女性にみられる。医学的には胃けいれん、子宮けいれん、腸神経痛などが考えられる」(大辞林)と説明されています。