【真説 鎌倉殿の13人】上総介広常をもっと知りたい!本名・兵力・誅殺の理由など真相に迫る【その1】

高野晃彰

NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、主役の北条義時(演:小栗旬)や源頼朝(演:大泉洋)と同じくらい、いやそれ以上にといってもいいほど注目を集めたのが、上総介広常(演:佐藤浩市)。4月17日放送で非業の最期を迎え、SNSではその死を悼む声や頼朝に対する怨嗟の声が湧き上がりました。

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「戦の匂いがする。俺が待ち望んでいた匂いだ!鎌倉の澱んだ風とは大違いだな!」のっけから、本編の鬱展開を予告するような大音声の源義経(演:菅田将暉)。京都では源氏同士の争いを避けたい木曽義仲…

死してなお、上総広常の人気は続き「大河ドラマの中の話だけではなく、実際はどのような人物だったのか知りたい!」という人も増加中です。今回は、そんな上総介広常の正式名・兵力・誅殺の理由など、真相に迫ってみました。

上総介広常の正式名や家系・経歴とは

桓武平氏の子孫で上総氏を名乗る

上総介広常の正式名は平広常(たいらのひろつね)で、本名が上総広常(かずさひろつね)となります。

上総介広常の先祖を溯ると桓武天皇に行き着きます。つまり広常は平清盛と同様に桓武平氏なのです。清盛の家系が嫡流とされる平国香から続くのに対し、広常は国香(くにか)の弟の平良文(たいらのよしふみ)の末裔になります。

平良文は朝廷から相模国の賊征伐を命じられ、京から東国に下向します。また従弟にあたる平将門の乱では、追討軍として活躍しました。その後、良文は陸奥守・鎮守府将軍として東北経営にあたりますが、任期が終わると関東に戻り、相模国・下総国に所領を広げました。

良文の孫の平忠常(たいらのただつね)の時代になると、その所領は常陸国・下総国・上総国におよぶ広大なものとなります。その結果、各国の国司とのトラブルが発生し、ついに忠常は朝敵と見なされ朝廷軍の征伐を受け、降伏・処刑されてしまいました。

しかし忠常の子供たちはそれぞれに常陸国・下総国・上総国に分散し、その所領を受け継ぎ上総氏・千葉氏などを名乗っていくことになるのです。

上総氏の初代は忠常の子の常将(つねまさ)で、その4代目が広常となります。こうしたことから、上総介広常の正式名は平広常(たいらのひろつね)、本名が上総広常(かずさひろつね)となるのです。

ちなみに通称となっている上総介は上総国の次官で官位を表します。つまり、上総介広常とは「上総の国のナンバー2の広常」ということで、さしずめ「千葉県の副知事」といったところでしょう。

3ページ目 上総介広常は最初から頼朝の味方だった

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