頼朝「小四郎。お前は、わしと坂東なら、どちらを取る?」
義時「……(困惑)」
頼朝「もうよい。とどのつまりは、わしは一人ということじゃ。流人の時も、今も」
盛長「佐殿!(頼朝の元へ駆け寄ってくる)」
頼朝「……あれがおったか(苦笑)……どうした」※NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第9回「決戦前夜」より
時は治承4年(1180年)10月20日、富士川の合戦に勝利した(と言うより、平家の軍勢が勝手に逃げ出した)勢いで一気に上洛したい源頼朝(演:大泉洋)に対して、さっさと所領に帰りたい御家人たち。
にっくき父の仇・平清盛(演:松平健)を一刻も早く討ちたいのに、そんな気持ちを誰も解ってくれない。
弟と思っている(第2回参照)目の前の北条義時(演:小栗旬)さえも、結局は自分をよそ者と思っている「坂東武士」なのだ……そんな寂しさを滲ませていたのが、強く印象に残りました。
流人の時から、幾万の軍勢を率いるようになった今も自分は独り……いや、藤九郎(演:野添義弘。安達盛長)がおったか……頼朝は乾いた笑いを浮かべます。
だがちょっと待ってほしい。佐殿あなた、実はそんな孤独でもなかったはずです。言っちゃ何ですが流人の分際で家来というか友達というか、そんな連中に囲まれながら暮らしていたじゃありませんか。
大河ドラマの都合上、彼らが割愛されるのは仕方ありません。が「本当の頼朝は、決して独りぼっちじゃなかった」ということを、どうか知っておいていただければと思います。