「七夕伝説」の本当のストーリー
七夕といえば、引き離された恋人同士の織姫と彦星が一年に一度だけ会うことを許される……という、切なくもロマンチックなストーリーが一番に思い出されますね。
しかし、興を削ぐようですが、実際の伝説はもっと人間臭いドラマです。七夕にまつわるストーリーのロマンスは曲解されたと言ってもいいものなのです。
七夕といえばはずせない「織姫・彦星伝説」。今回はその真の内容をご紹介したいと思います。
もともと、織姫と彦星の物語は中国が発祥とされています。
むかしむかし、天の川の西岸に織姫という美しい姫が住んでいました。
彼女はその名前の通り、見事な布を織り上げる腕を持っていました。毎日のように布を織り続け、機織りの労働に従事していました。
容姿も端麗。しかし彼女は人の目を気気にすることもなく、来る日も来る日も機織りに勤しんでいました。
それを不憫に思ったのが「天帝」です。
天帝は道教の神様で、この世のあらゆるものを支配・監視するとされています。
彼は織姫のために結婚相手を探し始めました。
そこで目に留まったのが、天の川の反対の東岸に住む彦星です。彼もまた働き者の青年でした。
こうして二人は結婚したのですが、一緒になった途端にかつての真面目さは失われてしまいました。お互いに夢中になりすぎて仕事そっちのけになってしまったのです。
さすがの天帝も呆れます。二人を諭しますが、聞く耳を持たず恋に溺れる織姫と彦星。怒った天帝は二人を引き離して天の川を渡れないようにしてしまいました。
嘆き悲しむ織姫と彦星。特に織姫は、彦星と会えなくなったことで機織りも手につかなくなってしまいました。
天帝は仕方なく「以前のようにしっかり働くなら年に一度だけ会わせてやる」と言います。
こうして「一年に一度だけ会うことができる織姫と彦星」の伝説ができあがったのです。
なんだか救いのないお話ですね。
恋愛にのめり込んで周囲が見えなくなってしまった男女が、神様から天罰を受けてしまう……。その神様も、自分が仲人をつとめた二人だというのにずいぶんと酷なことをします。