令和4年(2022年)放送予定の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜の脚本や豪華キャスト陣によって早くも話題となっているようです。
本作には主人公の北条義時(ほうじょう よしとき)をはじめ、鎌倉殿を取り巻く多彩な御家人たちが活躍します。
中でもお気に入りの一人が、佐藤浩市さんの演じる上総介広常(かずさのすけ ひろつね)。偏屈で気高く、反骨精神に富んだいかにも坂東武者らしいそのキャラクターは、筆者のみならず多くのファンがいるようです。
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今回はそんな上総介広常の生涯をたどって行きたいと思います。
坂東平氏の大豪族
上総介広常は上総・下総の両国(現:千葉県の大部分)に勢力を有していた大豪族・上総介常澄(つねずみ)の嫡男として誕生。
本姓は平氏で、通称は平八郎(へいはちろう)、介八郎(すけはちろう)などと呼ばれました(八男なのか、あるいは女子込みで8番目の子なのかは諸説あり)。
ちなみに上総介の介とは国司のナンバー2に当たる地位で、上総国は昔から親王任国(しんのうにんごく。天皇陛下にごく近い皇子が守=トップと決まっている国)で、実際に親王殿下が赴任することもなかったため、事実上のトップに相当。
生年は不詳ですが、源頼朝(みなもとの よりとも)公が挙兵する20年以上前から頼朝公の父・源義朝(よしとも)に従っていることから、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」登場時点では相当な高齢(頼朝公の父〜祖父世代)であることが判ります。
相次ぐ苦難に、揺らぐ立場
さて、平治の乱(平治元年・1160年)で平清盛(たいらの きよもり)らに敗れた広常は、主君・義朝とは別行動で京都から脱出。
義朝は逃走中に暗殺され、嫡男の頼朝公(当時14歳)は伊豆国(現:静岡県伊豆半島)へと配流。長い長い雌伏を余儀なくされました。
その一方、どうにか本拠地の上総まで逃げ延びた広常は、何食わぬ顔で(あるいは戦々恐々としながら)平清盛政権に従っていましたが、やがて父・常澄が亡くなると、にわかに状況が変わります。
上総介の後継者は正統な嫡男・広常ですが、これに対して庶兄(腹違いの兄)である印西常景(いんざい つねかげ)や印東常茂(いんとう つねしげ)らが抗議してきたのです。
「確かにそなたは嫡流なれど、不敬にも朝敵・下野(しもつけ。義朝の官名)に与した前科があり、不適格ではあるまいか」
では、常景と常茂のどっちが家督を継ぐべきかと言うとハッキリしないものの、とりあえず嫡男の広常さえ引きずり下ろせば、後は庶子(側室の子)同士でどうとでもなると考えたのかも知れません。
更に、平清盛の息がかかった伊藤忠清(いとう ただきよ)が上総介として赴任してきたことで、広常の立場はますます危ういものとなっていきます。