♪宮さん宮さんお馬の前に
ヒラヒラするのは何じやいな
トコトンヤレ、トンヤレナ
あれは朝敵征伐せよとの
錦の御旗じや知らないか
トコトンヤレ、トンヤレナ……♪※作詞:品川弥次郎/作曲:大村益次郎「宮さん宮さん」より。
時は幕末、錦の御旗を高く掲げた官軍が、トコトントコトン勇ましく、どこか牧歌的な感じがしなくもない軍楽隊の演奏と共に、東へ東へ進軍します。
そんな官軍の中に、頭に毛のような赤や白などのフサフサをかぶった者たちがおり、あれは一体何かのファッションなのでしょうか。
一軍を率いる武将クラスの者だけがつけていることもあれば、相楽総三(さがら そうぞう)率いる赤報隊(せきほうたい)のように、トレードマークなのか全員がつけている(イメージ)一方で、旧幕府軍はあまりつけているイメージがありません。
そこで今回は、この「幕末の官軍メンバーがよく頭につけている、赤とか白とか黒のフサフサ」について調べたので、紹介したいと思います。
徳川将軍家の財宝を、討幕のシンボルに
この官軍のトレードマーク?のフサフサなかぶりもの、染めた色によって赤熊(しゃぐま。赭熊)、白熊(はぐま)、黒熊(こぐま)などと呼ばれ、その名の通り熊の毛皮を表現したものだそうです。
熊のような勇敢さ、力強さを誇示するため、古来多くの武士たちから愛されてきました(※)が、どういう訳か実際には熊の毛ではなく、アジア大陸のチベットに棲む氂牛(ヤク)の毛を輸入したものだそうです(熊の毛だと、ゴワゴワ硬すぎて痛いのかも知れませんね)。
(※)例えば戦国大名・武田信玄(たけだ しんげん)の諏訪法性兜や、同じく徳川家康(とくがわ いえやす)が愛用したという「唐の頭(とうorからのかしら)」の兜などが有名です。