嘘にも種類があり、優しい嘘や人を傷つける嘘など、さまざまです。
聡明な武将として知られる明智光秀が残した「仏の嘘は方便、武士の嘘は武略」といった言葉があるように、武士は嘘をつき、敵を欺くことで戦況を乗り越えることが多くありました。
今回は、機転を利かせた嘘をつき未来を変えた武将たちを紹介したいと思います。
関ヶ原の戦いのカギを握った忍者・渥美源吾がついた「嘘」
渥美源吾(あつみ げんご)は徳川家に仕える忍者のひとりです。
同じく徳川家に仕える忍者、服部半蔵と肩を並べるほどの忍者だったといわれており、服部半蔵が「鬼半蔵」と呼ばれたのに対し、渥美源吾は「首切りの源吾」とよばれていました。
そんな、渥美源吾がついた「嘘」は、関ヶ原の戦いの勝敗を分けとも言われています。
関ヶ原の戦い、真っただ中の霧が濃い日の早朝、渥美源吾は徳川家康に「今日は戦に勝てます。奇襲に良い時間なので早々に攻め込んで落としてしまいましょう」と言いました。
周囲からは「この霧の濃い中、どうして戦えるのか」と、疑問を問われ、
渥美源吾は「今日の戦いに敗れたら誰も生きて帰れないだろう。つまり、自分の失敗をとがめる人もいない。」と言ったそうです。
渥美源吾の意図としては、嘘であろうと真実であろうと武士たちの士気を高め、先に敵を叩けば勝算も見えてくるだろう、という考えだったのでしょう。
その結果、徳川家康が率いる東軍は見事、関ヶ原の戦いに勝利し、渥美源吾の嘘も効果を発揮したと言えるでしょう。