古来「少年老い易く、学成り難し」とはよく言ったもの……私事で恐縮ながら、この前4歳児だったと思ったら、気づけばもう40歳児。いまだ学問も修まらず、天下に対し満足な義勇奉公もままなりません。
「あーあ。子供の頃から、もっと勉強しておけばよかった」
なんてため息をついている暇があるなら、今からでも少しは学問に励みたまえ……という天の声も聞こえないことはないのですが、その一方で
「今さら学問なんて始めてもねぇ……」
などという怠惰な心が勝ってしまい、結局何もしないまま、無為に歳を重ねてしまう……そんな悩みは筆者だけでなく、昔の人々も持っていたようです。
そこで今回は、いくつになっても学問に励むことの大切さを戒めた江戸時代の儒学者・佐藤一斎(さとう いっさい)の言葉を紹介したいと思います。
学問はいつからでも……佐藤一斎「三学戒」
少(しょう)にして学べば、則(すなわ)ち壮(そう)にして為(な)すこと有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老にして学べば、則ち死して朽ちず。※佐藤一斎『言志四録』より
【意訳】
若い時から学問に励んでおけば、大人になって何かを成し遂げられる。
大人になって学問を始めれば、年をとってもイキイキと暮らせる。
年老いてからでも学問を諦めなければ、その心意気は次世代に受け継がれる。
だから「勉強いつやるの?今でしょ!」と言いたいわけで、一斎先生は「今さらやってもしょうがない」などという怠惰を戒め、いっさいの弁解を許しませんでした。
もしも、あなたが学問に一片なりとも価値や必要性を見出したのであれば、たとえ何歳であろうと、どんな状況であろうと、したい学問は出来る限りでするべきなのです。