新年あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。令和3年(2021年)もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、お正月と言えばお節料理やお雑煮と一緒に、お屠蘇(とそ)を愉しむ方も多いかと思います。このお酒のような味醂のような飲み物は、いったい何なのでしょうか。
今回はそれを調べてみたので、紹介したいと思います。
病魔を屠り、魂を蘇らせるお酒
まず、お屠蘇という名前については諸説あり、体内に棲みついた蘇(そ)という病魔を屠(ほふ)る≒殺すという意味や、体内の病魔を屠り、魂を蘇らせるという意味などが考えられています。
お屠蘇の発祥は古代中国の後漢(ごかん)王朝時代に華佗(か だ)という名医が考案した「屠蘇散(とそさん)」とされ、日本へは平安時代初期、第52代・嵯峨天皇の時代に伝来したそうです。
そのレシピは時代や地域によって若干の違いがあり、現代では山椒(サンショウ)、細辛(ウスバサイシン)、防風(ボウフウ)、肉桂(シナモン)、乾姜(ショウガ)、白朮(オケラ)、桔梗(キキョウ)、陳皮(ミカン)などが多く用いられています。
これらの生薬を日本酒と味醂を合わせたもの(配分はお好みで)に一晩ほど漬け込めば完成。元旦に飲むことが多いため、大晦日の夜に仕込んでおくのが一般的です。
古来「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里(※)病なし」と言われ、心身の邪気を祓い、健康長寿を願うために飲まれてきました。
(※)村里一つとも、一里(約4km)とも解釈できますが、いずれにせよ「ご近所じゅう」というニュアンスと思われます。