江戸時代の人気遊女は、「一に顔、二に床、三に手」という風にいわれていました。一番は見た目ですが、床上手さや手練手管も重要だったのです。身だしなみはもちろん、性技術も商売として大切な要素だった遊女。そんな遊女たちの必須アイテムの中に、歯ブラシとフノリがあります。
江戸時代の歯ブラシは使い捨てだった
江戸時代の歯ブラシは、今のように何度も使うものではなく、一度使用すれば捨てていました。その歯ブラシを「房楊枝(ふさようじ)」といいます。
柳などの枝で作られており、柔らかく煮てから片方を細く尖らせ、もう片方をブラシ状にしていました。
ブラシ状のほうで歯を磨いてから、尖ったほうで舌の掃除をしていたそうです。現代でも、舌を磨くことは口臭予防になるといわれていますよね。
状況によって、一晩に複数の相手をしなければいけない遊女たちはとくに気を付けていたのでしょう。遊女が口臭をプンプンとさせていたのでは、客の足が遠のいてしまいますからね。
この房楊枝は使い捨てだったので、人一倍 歯磨きに気を使っていた遊女たちは何本ものストックを持っていたのです。