クリムトも傾倒した、江戸時代の孤高の作家たち
先日横浜に出掛けた際、百貨店に併設されている美術館へふらりと立ち寄ってみました。開催されていたのは京都・細見美術館展。細見美術館に所蔵されている幅広い年代の屏風から重箱から仏教美術から、数多くの美術品が並ぶ美しい展示でした。
その中でも特に目を引き、展示のテーマとなっている琳派(りんぱ)の雅の世界。
琳派というと馴染みは薄いかも知れませんが、俵屋宗達、尾形光琳という画家の名前は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
琳派とは、安土桃山時代(16世紀半ば〜)後期に興り、大正時代まで、長きに渡り著名な美術家を輩出した流派です。
名が知られているのは本阿弥光悦、先程出てきた俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一などなど。
作品は風神雷神図、紅白梅図などが目に入る機会が多いと思います。
この流派、他と明らかに一線を画す特徴が、その継承のされ方。
それぞれ先人を師と仰ぎ、直接にその技を学んだのではなく、家系、身分も全く異なり、遠く離れた場所にいる個々人が彼の先人の作風に傾倒し技を磨き、断続的に継承されてきたのです。ですので、流派の名前も創始者と言われる光悦、宗達ではなく中興の著名な作家である光琳の名前から現在は「琳派」と呼ばれています。
さらに紅白梅図をぱっと見ると、有名な西洋画家の作品と共通する点があるような気がしませんか・・・?金の背景、輪郭を象った内側に広がる宇宙のような色彩。
そう、19世紀後半-20世紀初頭に活躍したオーストリアの画家、グスタフ・クリムトは琳派の影響を受けてあの作風を確立したと言われています。
琳派の継承されてきた経緯を考えると、ある意味クリムトは琳派の継承者と言えるのかも知れませんね!
時間、場所、あるときは国境も超え、成長を続けながら、素晴らしいものは受け継がれて行く。ひとつの作品から端的に感じられる思いと、その背景となる様々な人の思いが伝わってくる展示、是非とも足を運んでみてください。